人間は誰一人としてオンチはいない ~着実に上達している超オンチの生徒さん~ 

現在、当教室では20~30代の大人の方達が相対音感トレーニングを受講している。その中に去年書いたブログにも少し述べているが、音も全く取れない、正しい音程を声にもまったく出すことができない、重症のオンチの生徒さんがいらっしゃる。しかし、発表会の後、その方の上達が目覚ましいのだ!

 

最初は、普通のハ長調のドレミファソさえ声にまともの出せず、音を外しっぱなしだったのだが、ここ最近は、24調に転調してもかなり歌えるようになった。また、音を外していることさえ自覚がなかったのが、それが自分でも分かるようになり、自宅でもより効率的に練習できるようになったようだ。

 

但し、音の聴き取りはまだ完全にはできず、今は一つずつ音を増やしながら毎回のレッスンで聴きとりのトレーニングをさせている。今は3つの音が聞き取れるようになり、5~6つのメロディーでつないで弾いても100%正確にとれるようになった。

 

正直、体験レッスンに来られた時は、これまで当教室で教えたことのなかった超重症の生徒さんだったので、私にできるのだろうかと思ったが、今は引き受けて良かったと思っている。その生徒さん自身もだいぶ自信がついてきたようで、声質もだいぶよくなってきた。

 

ここで一つ実感として分かったことは、人間は誰一人として音痴な人はいない、ということである。その人が音痴なのは、音のイメージが頭にない、そして、声の出し方が分からないだけで、これらを訓練し続ければ誰でも音痴は克服できるのである。また、音痴だけでなく、音の判別もできるようになり、耳で聴いただけで自分で音に合わせてうたえるようにもなるのである。

 

また、当教室には音大卒の生徒さん達も通っており、音大卒の方はさすが音大を出ているだけあって、一般の人達と比べて音をほぼ正確に声にだせるが(素人耳には音痴だとはほぼ分からない)、時々音がずれたりして決して完璧ではない。また、意外と単純なハ長調の単旋律が聞き取れない、転調になると分からなくなるという問題を抱えている。

 

相対音感の場合は、音と音の距離を測って音を取らなくてはいけないのだが、正確に距離が取れない為に音の判別に苦労し、声にも正確さを欠けてしまう。相対音感を強化するにはこの部分を訓練しなくてはいけないのだが、多くの巷の練習方法でやられていることは、ただやみくもに歌を歌ったり、聞き取りをするだけではなかろうか?こんなことをしていても意味はないし、時間を浪費するだけで、結局何も身に付かないのである。

 

音感訓練は年齢が低ければ低い程良いのだが、20代、30代でもまだ伸びしろがあるので、諦めないでいただきたい。また、相対音感は、その気になれは、40代以上でも全く可能で、先日ご入会された50代の生徒さんも、来週のレッスンから相対音感トレーニングを始められる。ピアノの演奏に自身がない、音の違いがピアノを弾いても分からない、などの問題を抱えている人は是非受講頂きたいと思う。

2020年02月06日