クラシック音楽を聴かなくなった今の子供達

最近の生徒さんはクラシック音楽を聴かないのか、発表会や弾き合い会などで選んでくる曲はジブリとか鬼滅の刃などアニメ系の曲やディズニーの曲を希望し、クラシックの曲を希望する生徒さんをほとんど見かけない。クラシックを希望されるのは、小さい頃からピアノをずっとやってきた40代以降の生徒さんか、音楽大学を卒業している親御さんかクラシック音楽を普段から聞いている親御さんのお子さんだけである。

 

私が子供の頃は、そもそもアニメの曲の楽譜などは今のように沢山あるわけでなく、クラシックが多かったので、ピアノを習っている周りの友達もベートーベンのエリーゼのために、とか、モーツアルトのトルコ行進曲、ショパンのノクターンや幻想即興曲などクラシックで弾きたい曲が沢山あった。しかし、今は様々なジャンルの曲の楽譜が手に入るように なったこともあり、子供達がそちらの曲に惹かれるのはある意味し方ないことなのかもしれない。

 

しかし、全てのジャンルの曲の源はクラシック音楽から来ており、子供の音楽性を高めるには、クラシック音楽をしっかりやっておく必要がある。クラシック音楽に全く興味がない人は、最初からジャズやポップスだけをやっていけばいいと思うが、クラシックをやっておくと音楽のを感じる力や解釈の幅などが広がり、それが他ジャンル曲を演奏する時や、作曲する時などに大いに役に立つ。有名なロックミュージシャンの中には、非常に美しい曲を残している人達がいるが、経歴を見るとやはりクラシック音楽を学ぶことからスタートしていることが分かる。日本で有名なYOSHIKIもクラッシックピアノのレッスンを受けていたが、彼も数々の美しい曲を残している。

 

子供達にクラシック音楽に興味を持ってもらうには、普段から家庭でもクラシック音楽を聴き、時には生の演奏を聴きにいくことが重要です。色々なクラシック音楽を聴くうちに子供たちの耳が養われ、クラシック音楽の良さが段々と分かるようになってきます。そうすれば、色んなピアノ曲も聴くようになり、いつかあの曲が弾けるようになりたい、と思う曲が沢山持てるようになり、それがピアノを長く続けられるモチベーションにもつながると思います。

 

また、良い音楽を聴くことで耳も養われます。CDやYoutubeで聴くのも良いが、何と言ってもやはり生の演奏を聴きにいくこと。音楽を通して感動する体験を味わうのは、圧倒的に生の演奏であり、それを味わった子供達は音楽の素晴らしさが分かるようになる。それが、良い演奏につながるのです。クラシック音楽は、全ての音楽ジャンルの中で最も芸術性が高く、やはり小さい時からそのような崇高なものに触れさせることに非常に意味があるわけです。

 

もちろん、アニメやディズニー音楽からも得られるものはあるが、クラシックほど高い技術性と音楽性を要求されているものはありません。だから、クラシック音楽をしっかりやっておくと、他のジャンルにも応用できる、というのはそういうことなのである。

 

お子さんにきちんとした基礎力をつけ、長く続けて欲しいとお考えでしたら、親御さん自身もクラシックに興味を持って頂き、お子さんと一緒に楽しむ機会を頻繁に設けて頂くことが非常に重要になります。生徒さんを見ていると、普段からよくクラシック音楽を聴く人は、聴かない人と比べると明らかに演奏に違いがあります。特に生のクラシック演奏によく出かけるお子さんの演奏は、小さいながらも音楽をしっかり感じ取る心があり、演奏が別格に違うと言わざるを得ません。

2021年07月18日