絶対音感トレーニングに行き詰まったら

絶対音感トレーニングは、どのお子さんでも最初から最後まで何の問題もなく全てが順調に進んだケースはほとんどありません。稀に、2歳から始めたお子さんで1年で絶対音感がついたケースがあるようですが、ほとんどのお子さんの場合、順調に行っても必ず行き詰まる時期を経験します。

 

こちらでは既に何人かの生徒さんのトレーニングをしていますので、子供の聞き方に問題が出たとしても驚かないのですが、初めてトレーニングするお母さんからすると、少しでも子供が混乱したり、トレーニングがなかなか進まない状況に陥ると不安になるようです。

 

先日も、新しい旗が1本追加されたことで、前に覚えていたはずの赤や黄色の音も間違えるようになり、大混乱に陥ってしまった、どうしたらいいですか?、とお母さんからご連絡を頂きました。前回、新しい旗が加わった時はわりと早いペースでマスターできていただけに不安になったのではないかと思いますが、その方には、通常、混乱が起こるのが当たり前なので、練習を沢山積めばそのうちミスがなくなりますよ、とお伝えしました。

 

また、もう一人の生徒さんは、白鍵の旗がそろそろ終わりに近づいているのですが、8本目の旗が入ってから半年くらい、停滞状態が続いています。このお子さんは、最初から7本目まではとても順調に進んでいました。しかし、8本目の旗が入ってから、紫とオレンジの音のミスが消えず、隔離練習をしても効果が出たり、出なかったり、の繰り返しです。

 

そんな時、一番不安になるのがお母さんです。普段、子供のトレーニングに付き合っているため、同じ状態が長く続くと、言葉には出さなくても不安げな様子や態度が無意識に出てしまいます。中には無言のプレッシャーを与えてしまうケースもあります。けれども、敏感な子供はそれを察してしまい、本人自身も不安になり、トレーニングの停滞にますます拍車をかけることになります。それだけでなく、子供をトレーニング嫌いにさせてしまうこともありますので、要注意です。

 

このような状況の時に一番大事なのは、子供の可能性を信じてあげることです。先が見えない、出口が分からない状況で不安になるのはよくわかります。けれども、長いトンネルでも必ず出口がありますから、それを信じてお母さんは普段通りに子供に接してあげることが大事です。子供にプレッシャーを絶対に与えてはいけません。そうすると、子供は親の様子を伺うようになり、考えて音を聞いてしまうので、そうなってしまうと、絶対音感を身に付けることが更に難しくなってしまいます。

 

絶対音感トレーニングは、親子関係を浮き彫りにする、とこのトレーニングを考案した江口氏がおっしゃっていましたが、まさにその通りだなと思います。逆に言えば、正しい親子関係を構築するのに、絶対音感トレーニングがとても助けになるので、親子共々、成長できることは間違いありません。

2019年03月20日